昨年も市民公開講座を行いましたが、コロナ感染拡大傾向につき観覧中止となりWeb視聴のみの開催となりました。
今年は無事に観覧&Web視聴ありの開催ができ、感無量です!
それでは視聴できなかった皆様、お待ちかねのレポートをご覧下さい。
あきた乾癬友の会代表 佐藤佳路子「乾癬を受け入れてみませんか?」
佐藤さんは高校生の時に尋常性乾癬になりました。
皮膚の悪化や関節痛があり入退院を繰り返していたそうですが、あるとき指定難病である膿疱性乾癬になりました。
様々な治療をして、一番印象に残っているのは「ゲッケルマン療法」だったそうです。
コールタールの匂いはきつく、全身は包帯で巻かれ、治療そのものがメンタルを不安定にさせました。
自分に合う治療法に出会うまでは長い道のりでした。
ある日、医療相談会で整形外科の先生に関節が痛いことをお話しました。
当時、変形はしていませんでしたが握力検査をした後、その先生は「障がい者手帳を取得したほうがいい」と言いました。
最初は「障がい者になる」ということが嫌で気持ちは受け入れられませんでしたが、申請は通りました。
現在は医療費の負担が少なく受診できています。
あの時先生が言った「損はない。必要になるときがくる」という言葉に助けられています。
「障がい者」と同様、「乾癬」を受け入れることは簡単ではありませんでした。
しかし同じ乾癬患者さんに「どんな困難もそれを乗り越えられる可能性がある人にしかあらわれないんだよ」と言われたことで乾癬になった意味を考えさせられました。
『治った人がいない病気なら、私が完治しました!』と言える第一人者になろうと前向きになれました。
乾癬を受け入れたら人のやさしさが見えたり、未来を考えることができ、同時に同じ乾癬患者産の話を聞きたいと思うようになりました。
今の自分を楽しもうとネイルにも挑戦。小さなおしゃれでモチベーションを上げています。
現在は生物学的製剤を使って治療をしています。
変形した関節は元には戻りませんが、関節の痛みにも効果はあり、膿疱性乾癬もきれいになりました。
乾癬になり、第一に乾癬を理解することが大切だと気付きましたが、不安は尽きません。
もしかしたら同じ悩みを持っている方がいるかもしれない、そんな方たちと繋がりたい!と秋田県に「あきた乾癬友の会」を設立しました。
自分よりも苦しんでいる人もいるかもしれない。自分が経験したことが誰かの背中を押してあげられるかもしれない。
あきた乾癬友の会は今年で3周年を迎えます。
気軽にSNSで患者交流のできる時代です。
公式HPやYouTubeなど、アクセスお待ちしております。
リンク あきた乾癬友の会
乾癬は辛いです。でも、嘆くより受け入れてみませんか?
あきた乾癬友の会 髙岡千菜美 「子どもの乾癬と親にできること~生活しやすい環境づくり~」
息子は生後5か月で指定難病である膿疱性乾癬と診断されました。
現在息子は3歳です。
まずは膿疱性乾癬と診断されるまでの経緯をお話します。
リンク 膿疱性乾癬までの経緯
「乾癬は軽快と悪化を繰り返す」ということを聞き、息子に大変なものを背負わせてしまったと思い詰めましたが、どう自分を責めても状況は変わりません。
約7か月の入院後、退院することができましたが、軽快と悪化を繰り返す息子。
入院中はほぼすべての処置を小児科の看護師さんや皮膚科の先生がしていたので、痛がる息子に外用薬を塗るのも悪戦苦闘。
息子も私も辛い日々が続きました。
悩みや不安は尽きることはありませんでした。
①家族以外で相談する人がいない
乾癬について話す人は家族、主治医以外いませんでした。
悩みは様々で、外用薬の塗り方、夏の過ごし方、服の着方や素材選び、何が良くて何が悪いのかが分かりませんでした。
解決にはそれほど時間がかかりませんでした。
乾癬の市民公開講座のポスターを見つけ、参加しました。
乾癬患者が多くいることを知りました。
秋田に患者会があることを知りました。
多くの人と交流し、多くのことを学び、不安要素が少なくなりました。
②多くの人が乾癬を知らない
「乾癬です」と言っても初めて聞く言葉のようで不思議な顔をされることもしばしば。
行く先々で乾癬の認知度が低いと感じました。
そこで、私ももっと乾癬について勉強して、周りの人に知ってもらおうと思いました。
まずは乾癬に関する情報や息子の膿疱性乾癬の治療のことをブログに投稿していきました。
また、SNSでも乾癬の啓発運動を行い、多くの乾癬患者さんと交流を深め、ひとりじゃないと感じることができました。
私が多くの人に乾癬を伝えることで、息子や乾癬患者さんが今よりもっと過ごしやすい環境が整うよう啓発運動を続けています。
息子の診断から3年経ち分かったことは、『大切なのは取り巻く環境』です。
家族、友達、主治医など、どれも人のつながりです。楽しさだけを共有する環境だけでなく、「つらい・苦しい」と言える環境づくりが大切だと思っています。
息子、そして乾癬患者さんの生活しやすい環境づくりのためにしていること、そしてこれからもすることをご紹介します。
是非皆さんもできるところからやってみてください。
最後に、乾癬の子を持つ親御さんたちに伝えたいことがあります。
「こんなからだに産んでごめんね」「私が悪い」と何度思ったでしょう。
原因が何であれ乾癬になったことに変わりありません。
だから私は前を向くことにしました。
乾癬でも選択肢を広げてあげたい。
「ダメじゃないよ、できるよ、やってみよう」と言ってあげたい。
子どもをどう育てるかは親次第です。心も肌も親次第です。
日本には子ども福祉医療制度(丸福)があるので、子供の治療費は高額になりません。
安心して、まずは皮膚科で標準治療を受けましょう。
みなさんが正しい治療と繋がることを心から願っています。
秋田大学医学部付属病院 皮膚科・形成外科助教 山川岳洋先生「乾癬について」
・乾癬の種類と基本的な乾癬症状について
・生物学的製剤の種類
・乾癬と喫煙
・乾癬とアルコール
・乾癬と食生活
喫煙とアルコールは乾癬悪化の要因になる。
また、食生活の見直しは乾癬の軽快につながるとお話してくださいました。
現在山川先生は、皮膚科と整形外科の連携、そして栄養管理課との連携を進めています。
まとめ
今回もQ&Aはありましたが、一番印象に残った内容は
Q.薬が効きやすくなるんじゃないかと皮を剥がして薬を塗っていますが、どうなんでしょうか?
という質問でした。
これに関しては出演者全員ざわめきましたね。
答えてくれたのは山川岳洋先生で、「絶対ダメです。剥がすという行為は皮膚に刺激を与えてるということになり、逆に悪化してしまいます。剥がさず、薬は乗せるようにポンポンと塗ってください」とおっしゃっていました。
今回の市民公開講座は観覧&Web視聴で開催し、会場では和やかな雰囲気で講演することができました。
私も患者会と出会い3年目、講演する側に立つとは思っていませんでしたが、とてもよい経験となりました。
あきた乾癬友の会では患者会での集まりもほとんどなく先生方とも久しくお会いしていませんでしたので、控室では和気あいあいとお話することができ、とても楽しかったです。
次回の市民公開講座もお楽しみに!
リンク 2021年5月23日 秋田県市民公開講座「みんなの乾癬教室」レポ
最後まで読んでいただきありがとうございました!